MELMO

いのちの声 こころの詩

天使

天から天使がおりてきて このこなごなに壊れた心を拾い集め言いました 「どんなに 心が こなごなになっても わたしは 何度でも あなたの壊れた心におりてきます」

絵の国

私は今壊れてゆきます 昔見た狂気の絵の具で虹を描きます 小鳥がナイフを掴んで飛びながら 綺麗な唄を歌います 飛んでくる小鳥を刃ごと素手で捕まえます 窓から炎は巨大な花が揺れるように 燃え上がります 吹き出る炎に真っ赤な手を 差し出し暖めましょう天…

冷たい柵

痛みに鈍くなるのは 限界を越えて自分を守る時 冷たくなった手のひらに 積もる雪のように 冷たい柵の隙間から伸ばした手に 無条件の愛を 優しさを ぬくもりを 私にも 欲しかったけど掴めなかったものたとえうさぎじゃなくても さみしいと死んでしまう人の心…

真実(ほんとう)の空

雲ひとつない青く青く真っ青な空 こんなふうに私の心の中には 何も浮かんではこない その青い空の上にあるカミナリの音も 月の輝きも見えないでいるだけで 私はまだ真実(ほんとう)の空を知らない 目をあけたまま何も見ずに靴を捨てた日 戻れないところにはゆ…

私の心

「もうアンタのところにはいられないよ」 たぶん最後にそう言い残して飛んで行った 私の心は葉っぱのような 小さな小さな羽を ちょこんとつけて ゆくあてもない長い旅をしている私の心はいつ飛んで行ったのか わからない 思い出せないほど遠い昔どこにいるの…

人は時に さみしさの隙間を 気づかずさみしいもので埋めてしまう人は時に かなしみの抜け道から もっとかなしい場所へ向かってしまう人はよわくてよわくて よわくていいんです一番手に入らないものを 諦めきれないとき 人は人から離れた渦の中 それでもどう…

逃避

私は時々逃げ出したい 懐かしいあの空の上に私は時々逃げ出したい ひとり裸足で地の果てへ私は時々逃げ出したい 抱え込んだ現在を潰す前に私は時々逃げ出したい 感情の無い世界へ一度でいいから行ってみたい 何もかもがあったかい世界へ一度でいいから見てみ…

ガラス

割れたガラスの上でも 私は走って生きていく それが与えられた路ならば 私は走って生きていく いつか光って見えたけど 本当は痛くて哀しくて いつか誰かに話したい 笑って誰かに話したい私の心を爆破した あの騒音は今も消えない 再生され始めた私の心に あ…

鉄の殻

だれにも止められない勢いで生きてきた 早送りのビデオみたいに 何も見えずに何も感じないで 一度止まったらそれきり 動けなくなる気がして私は鳥の羽の下 冷たい鉄の殻の中 まだ本物の空を知らず 本当に羽があるのかも分からない

哀しみ

深く深く沈んだ哀しみに 付けて呼ぶ名はありませんか? 重い鉛に引きずり込まれてゆく哀しみを 引き上げる綱はありませんか? 海底に忘れ去られた哀しみを 捜しにゆく船はありませんか? 沈黙の苦しみが答えなら せめて今日の哀しみを 休ませる浜辺を与えて…

ドア

私が選んだドアの中はいつも 間違いだらけの解釈と 不吉な予感のする未来 両手を広げ私を向かい入れる懐かしい場所に 安堵さえ感じる だけどだれ一人このドアには入ってこない みんなには見える 透明の の文字を 私だけが見えていないとは気づかずにみんなが…

神様のロープ

天から伸びてる一本のロープを 私は必死に掴んでる 神様はロープを揺らして 私がどれだけ頑張れるか試してる もう力も尽きて片手を離したら 神様は手を止めたけど 強風と豪雨でロープは激しく揺れ続けた いつでも手は離せるけど 私は何故だか掴んでいる 破滅…

いのちの声 こころの詩

生まれてきてよかったのか、 そんな問いが心から離れなかったひとりの人間は 詩を書くことで生きてきた